包括的がんセンター教授のごあいさつ
教授写真
ドクター
埼玉医科大学国際医療センター
乳腺腫瘍科 教授
 乳腺腫瘍科は、乳癌診療で必要な診療技術をすべて備えた専門家を育てることを目的として2004年に埼玉医科大学に新設されました。医科大学の使命として、診療・教育・研究を合理的にかつ効率的に行える人材を育てることが非常に大切であると考えています。乳腺腫瘍科というネーミングは乳癌診療を包括的にとらえ、正確な診断から、治療面では外科治療のみならず薬物療法、緩和医療にいたるまで全てを網羅できる科であることを目指してつけられたものです。現在の構成員は、乳腺外科医、乳腺内科医、病理医、形成外科医、遺伝カウンセラーからなり多職種カンファレンスでは毎回有意義なディスカッションが行われています。当科は2007年4月から国際医療センターの包括的がんセンターに本拠地を移しましたが、診断がメインの大学病院との連携は非常にスムースに行われています。乳がん手術症例数は年々増え2008年以降は全国病院ランキングで上位に紹介されるようになりました。今後も、質の高い診療を多くの患者さんに提供できるように努力していきたいと思います。

 研究では、乳癌治療や診断に特徴的な研究を行っています。埼玉医科大学ゲノムセンターと共同でホルモン受容体の分子レベルでの解析の研究をしている他、国際医療センター病理診断科、放射線腫瘍科、核医学科、形成外科とともに、さまざまな先進的医療の研究も行っています。乳癌の研究で医学博士を取得したい方々の期待に応えられるような、十分な研究設備と症例数を備えていると自負しています。

  教育は、卒前から学生諸君には乳腺診療の重要性を理解してもらい、卒後教育では、初期研修医として乳腺外科を経験したい方、外科専門医取得後、乳腺専門医を目指している専攻医の方、大学院研究科で学位の取得を考えている方など、それぞれの希望に応じて若い医師の皆さんにいつでも乳癌診療と研究を経験していただけるような“場”を提供したいと思っています。

 乳癌の集学的治療を行うにはチーム医療が不可欠で、個々の患者に満足のいく治療を提供するには各領域の専門家が意見を出し合い連携を深めることが必要です。開設後、間もなく多職種からなるブレストケアチームが発足し、乳癌診療におけるチーム医療の問題点と今後の課題とについて検討しています。また、乳癌患者さんの会(やまぶきの会)へのサポートを行いながら患者中心の診療の改善に日々努めています。これから乳腺専門医を目指す若い医師の皆さんには是非、この先進的な医療環境のもとで修練を積み、将来のリーダーとしてここから羽ばたいていただきたいと思います。