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2017.7.10
ベバシズマブ抵抗性乳癌は急性低酸素を誘導しがん転移を進行させることをFDG-PET、低酸素FMISO-PET、および光イメージングによって解明
Article release: S Ueda et al. Clinical cancer research. 2017 July
本研究は乳腺腫瘍科と核医学科の主導によって、浜松ホトニクス中央研究所の技術協力のもとに行われました。
ベバシズマブはVEGF阻害薬の一つとして多くのがん腫で使用されています。我々は乳がんに対するベバシズマブの治療抵抗性メカニズムを解明するため、FDG-PET、FMISO-PET、MRI、拡散光イメージング(以下DOSI)の画像モダリティを用いて機能解析をしたほか、マルチプレックスサイトカイン解析を行いました。

局所進行乳癌28名に対し、ベバシズマブとパクリタキセルの標準療法を6サイクル施行しました。治療前と2サイクル目に4つのイメージングを施行し、また初回導入時のみベバシズマブ単剤投与をし、DOSIによる組織酸素飽和度(SO2)とヘモグロビン濃度の測定の他、血液サンプル採取を経時的に行いました。

FDG-PETによる糖代謝の低下率(△SUV cutoff:-20%)で治療反応(R)群18例と非反応(NR)群10例に分けたところ、NR群はR群と比較して全生存期間が短く、腫瘍縮小効果が低く、FMISO-PETにより計測した細胞内低酸素が有意に高いことが分かりました。またベバシズマブ単剤投与後の変化は、NR群では投与直後1-3日目に腫瘍SO2が急速に低下し急性低酸素を示したほか、VEGF,FGF,TGFβなどの血管新生因子やIL6,IL8,TNFαなどの転移誘導サイトカインはむしろ上昇する傾向となりました。R群の腫瘍SO2は高値を維持する一方、これらのサイトカインは低下しました。

本成果は、ベバシズマブ投与後、急性低酸素を誘導し、がん血管新生や転移が進む患者群の存在を示唆しました。ベバシズマブの治療抵抗性の一つに急性低酸素による微小環境の変化が関わっている可能性があります。*この成果結果は平成29年度第55回日本癌治療学会学術集会における優秀演題賞を受賞しました。尚、本研究は文部科学省科研費基盤研究および学内リサーチグラントにより支援されています。

タイトル:Bevacizumab induces acute hypoxia and cancer progression in patients with refractory breast cancer: multimodal functional imaging and multiplex cytokine analysis
Shigeto Ueda, Toshiaki Saeki, Akihiko Osaki, Tomohiko Yamane, Ichiei Kuji

http://clincancerres.aacrjournals.org/content/early/2017/07/04/1078-0432.CCR-17-0874